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松村 達郎; 竹下 健二*
ACS Symposium Series, 933, p.261 - 273, 2006/07
TPENのピリジル基の結合位置が異なる3種の異性体、t2pen, t3pen, t4penを合成し、これらと脂肪酸の一種であるデカン酸との協同抽出によるAm(III)とEu(III)の分離を試みた。これら3種の異性体は、水溶液中での、水素イオン,金属イオンとの錯形成に関する挙動は非常に似ているが、AmとEuの抽出挙動はまったく異なることが明らかとなった。t2penのみがデカン酸との協同抽出によりAmを抽出可能であり、Euとの分離係数は100であった。他の2種類の異性体は、抽出能力が非常に低くAmとEuの分離は観察されなかった。ピリジル基の窒素ドナーが骨格のN-C-C-N構造に近接しているt2penのみが、Amを分離可能であった。
Mirvaliev, R.*; 渡邉 雅之; 松村 達郎; 館盛 勝一*; 竹下 健二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(11), p.1122 - 1124, 2004/11
被引用回数:21 パーセンタイル:76.47(Nuclear Science & Technology)高レベル廃棄物の長期放射能毒性の劇的な低減化を目指す分離変換技術の実現には、高レベル廃液からマイナーアクチノイドを分離し、ADS等に供給する分離技術の開発が重要である。しかし、マイナーアクチノイドのうちAm, Cmは溶液中で3価のイオンとなりランタノイドと類似した化学的挙動を取るため相互の分離が困難であることが知られており、各国においてこの分離に適用できる抽出剤の開発が精力的に進められている。N,N,N',N'-tetrakis(2-methylpyridyl)ethylenediamine (TPEN)は、水相中においてAmとランタノイド元素との錯体安定度定数に10の差があることが報告されており、われわれはこれまでニトロベンゼン系,D2EHPA-オクタノール系において、TPENによるAmのランタノイド元素からの抽出分離を確認してきた。今回、より実用に適した新規協同抽出系であるTPEN・デカン酸-オクタノール系において、Am(III)がLn(III)から選択的に分離されることを見いだし、その分離係数、SFは最大84を示した。
渡邉 雅之; Mirvaliev, R.*; 館盛 勝一; 竹下 健二*; 中野 義夫*; 森川 公私*; 近沢 孝弘*; 森 良平*
Solvent Extraction and Ion Exchange, 22(3), p.377 - 390, 2004/06
被引用回数:33 パーセンタイル:65.71(Chemistry, Multidisciplinary)TPEN(N,N,N',N'-tetrakis(2-methylpyridyl)-ethylenediamine)とD2EHPA(di(2-ethylhexyl)phosphoric acid)を用い、オクタノールを有機相とすることでマクロ量の3価ランタノイドから3価アクチノイドを選択的に協同抽出できることを示した。見かけ上の分離係数(Am(III)の分配比のEu(III)の分配比に対する比)は、80程度を示し、先にJensenらにより報告された錯生成度定数の差からの予測値とよく一致した。この選択的分離には、抽出剤のモル比が重要で、D2EHPA:TPEN=2:1のとき最も選択性が良いことを明らかにした。この協同抽出機構を明らかにするため、オクタノール中でTPEN単独系、及びTPENとD2EHPA共存系について吸光光度滴定を行い、Ln(III)と抽出剤との錯生成平衡を解析した。その結果、TPENはEu(III)に1分子配位した錯体[Eu(TPEN)]を生成し、さらにD2EHPAは[Eu(TPEN)]に2分子配位すること,オクタノール中でTPEN-D2EHPA及びEu(III)の混合配位子錯体はかなり安定に存在することなどを明らかにした。また、D2EHPAとTPENはオクタノール中で2:1のモル比で会合しており、このことも協同抽出において重要な要因であることを見いだした。
渡邉 雅之; Mirvaliev, R.*; 館盛 勝一; 竹下 健二*; 中野 義夫*; 森川 公私*; 森 良平*
Chemistry Letters, 31(12), p.1230 - 1231, 2002/12
被引用回数:40 パーセンタイル:73.28(Chemistry, Multidisciplinary)カプセル化可能なセミポダンドタイプの6座配位子TPENを用いて、Am(III)を希土類元素から分離することに成功した。本報告で紹介する抽出系は、他の錯化剤,改質剤などを使用する必要のない初めての例である。
中村 康弘; 小沼 吉男
JAERI-M 6673, 13 Pages, 1976/08
グラフィック・ディスプレイを用いて実験データの平滑化を行うために汎用サブルーチンGSMOOTを開発した。これは、実験データのグラフがCRT面に表示され、かつ、そのデータが配列で与えられると、利用者にライトペンによる実験データの平滑化を可能にさせ、また、平滑化された実験データを配列で利用者に提供できる。本報告では、このGSMOOTサブルーチンの機能と使用法について詳しく述べた。
中村 康弘; 小沼 吉男
JAERI-M 5305, 18 Pages, 1973/06
ライトペンによってCRT面に任意図形が描けるグラフィック・プログラムGPICTUR-IをFACOM230-35ROSで開発した。このプログラムによって、CRT面に描かれた図形の計算機入力や磁気テープ出力ができる。さらに、そのテープを読むと、もとの図形がCRT面に再表示され、ユーザによる修正が可能である。これらの操作はすべてCRT面に表示されているライトペン・ボタンによって制御される。
金子 政志; 渡邉 雅之; 松村 達郎
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、高レベル放射性廃液の分離変換技術の主要分離プロセス開発に向けて、マイナーアクチノイド(MA)とランタノイド(Ln)の一括分離および相互分離試薬の開発を行ってきた。我々は、様々な抽出試薬によるMA/Ln分離メカニズムを分子レベルで明らかにすることにより、新規抽出試薬の分子設計を目指している。本研究では、MAに対する選択性を持つTPEN配位子のピリジンにアミドなどのカルボニル基を導入した新規抽出剤を設計し、計算化学的手法である密度汎関数法を用いてその抽出剤のMA分離性能の予測を試みた。単結晶構造を参照して分子モデルを作成し、水溶液中における錯体の安定性をEuとAmで比較した。その結果、Euに対するAmの安定性は、無置換TPENにおける予測値に比べ増加し、分離係数に換算すると約5から20倍に向上した。